<LOVE GAME>
恋愛は多くを求めた方が負けだと、どこかで聞いた。
貴方は決してオレを求めない。
常に王者のような振る舞いで、悠然と微笑み、欲しいものは総て手に入れる。そう言う人だ。
貴方は決してオレを拘束したりはしないけれど、その代わり、オレの欲するもの総てを目の前に並べ、「好きにしていいよ」と笑う。
傲慢で、酷い人だ。
アナタは決して俺を欲さない。
天使のように無邪気に、何も欲しがったりはしない。そのくせ、総てを手に入れている。そういう人だ。
アナタは決して俺を望んだりはしないけれど、その瞳で、そこにいることが当然のように強いる。
冷酷で、酷い人だ。
この関係は微妙なバランス。
欲さないオレと、求めない俺。
本当なら一緒にいるはずのない2人。
何故、離れないのか。
何故、ここに居続けるのか。
貴方は言う、お前の事ばかりに構っていられない。
アナタは言う、好きなようにしていいんだよ。
接点なんてない二人。
価値観さえも違う二人。
それなのに・・・。
この身体は誰よりも熱く・・・。
笑っちまうよ。
気持ちなんてないからどんな事でも出来るなんて言いながら、
貴方の唇は震えている。
貴方なんて女の代わりだなんて言いながら、
優しく俺に触れる。
見え透いた嘘で固め、
陳腐な嘘を重ね、
そうまでして求め合わずにいられない。
貴方の触れたところが熱い。
アナタの触れたところが疼く。
傲慢な貴方は何もなかったかのように居住まいを正して、
冷酷なアナタは平然とその場を後にする。
後にはなにも残らない。
漏れ出た吐息の熱さも、吐き出したモノの熱さも、ひっそりと、身体の奥に沈めて・・・。
恋愛は多くを求めた方が負けだと、どこかで聞いた。
貴方は何も求めない。
アナタは何も欲さない。
それでいい。
それがいい。
だからゲームは終わらない。
さぁ、何も求めず、熱いゲームをはじめよう。
END