どうして君を想う時、切なさが伴うんだろう。

『恋愛はゲーム』

そんな言葉を口にしたのはいつの話…?

捉えたつもりが捕らわれて、こんなにそばにいるのにもどかしくて…。

君が欲しい、
君が欲しい、
こんなにも欲しい…。

ねぇ神様、聖なる夜にもしもひとつだけ願いが叶うなら、真実の声を聞かせて。

偽る事のない本当の想いを…

 

 

 

 

 

2011/12/01 00:05
From ヒロ
Sub (no title)

大ちゃん大丈夫?
ゴハン食べた?
そっち行こうか?


  −END−

 

 

2011/12/01 00:31
From ヒロ
Sub (no title)

大ちゃん起きてるよね?
スタジオ入ってるのかな?
メール見たら何時でもいいから電話して


  −END−

 

 

 

TR…
TR…
TR…

出てよ、大ちゃん
電話に出てよ

TR…
TR…
TR…

一人で泣いてるんじゃないの?
一人で我慢してるんじゃないの?

TR…
TR…
TR…

ねぇ電話に出てよ
オレを頼ってよ
他の誰でもない、オレを呼んでよ

TR…
TR…
TR…

今はまだそっとしておいて欲しい?
話せないなら話さなくていい
だからねぇ大ちゃん、電話に出てよ

TR…
TR…
TR…

 

 

 

ヒロからメールも電話も来てた。気付いてた。でも出なかった。
こんな時ばっかり優しくするなんてズルい。いつもは気まぐれにしか僕の事を気にかけたりなんかしないくせに。

ヒロはいつだって優しい。最高のパートナー。だけどこの気持ちを埋めるパートナーには決してなってくれない。それなのに気のある素振り。いつだってそう、残酷なくらい優しい。

一番近くて一番遠い。解っていても解りあえない。その部分だけは、一生交わらない。
本当にズルい男だよね。僕の気持ちなんてもう十分に解ってるくせに・・・弱ってる時に優しくしないで。

昨日、アニーがお星様になった。アルを見てたから何となく予感はあった。覚悟は、してたつもり。それでも哀しいことにかわりはなくて、ひとりぼっちになっちゃったジョンもどこか哀しそうで、そんなジョンを見てまた哀しくなった。
お星様になってあそこから見守ってくれてるんだよなんてジョンに言い聞かせながら、その実、自分に言い聞かせて。そしたら雨まで降ってきて・・・。ちっちゃかった頃の写真を見返して、思えばあっという間だった13年間を思うとまた涙が出た。
アニーはあの頃の僕を支えてくれた。つぶらな瞳で、穏やかな眼差しで、僕をずっと見つめ続けてきてくれた。大切な家族。かけがえのない、家族。

泣き腫らした目が重い。携帯に残ったヒロの履歴を今日は見たくない。優しくてズルい男だから、きっと今の僕の状態を知ったらすぐに駆けつけて来るだろうけど、今日だけは会いたくない。だってきっと、あの男の優しさに縋ってしまう。今の僕は自分をコントロール出来ないから・・・勘違いさせないで欲しい。勘違い、したくない・・・。
だけど・・・。

こんな時はそばにいて欲しい・・・。


「ジョン・・・。」

昨日から尻尾が下りたままのジョンを僕はぎゅっと抱きしめた。

 


 

2011/12/02 14:39
From ヒロ
Sub おはよう

大ちゃん、ちょっとは寝た?
昨日電話したんだけど曲作ってた?
無理しないでいいからね
後で1回顔出すね


  -END-

 

 

 

2011/12/01 15:36
From 大ちゃん
Sub ありがと

大丈夫
お仕事あるから気にしないでいいよ
また次の打ち合わせの時にね


  −END―



 

 

2011/12/01 15:45
From ヒロ
Sub Re:ありがと

ホントに平気?
無理してない?
オレもアニーにお別れ言わせてね


  −END―



 

 

 

 

「大ちゃん。」

じっと見つめて、その後の言葉を続けられずにただ見つめて、自分より小さなこの人が今日はもっと小さく見える。いつもは騒がしいくらいのジョンも今日は少しおとなしい。ピタリとオレの足にすりよって、大きな体を丸めている。

「大ちゃん。」

そっと手を差し出して緩やかに抱きしめると金色の髪がコテンとオレの肩に寄り添った。ぎゅっとそのまま腕の中に閉じ込めると小さな呟きが返ってくる。

「ありがと。」

答えるように腕に力を込めるとその腕から逃れるように顔をあげた。

「大丈夫。心配しないで。」

「大ちゃん…。」

笑って見せるその笑顔が痛い。平気な訳がないのに、こんな時までこの人は頑なだ。
リビングに歩いていく彼の後をジョンと一緒に追いながら、シンと静まり返った部屋の中を見渡す。

「アニーは…?」

「お別れしてきた。いつまでもそのままにはしておけないから。」

「いつ?」

「今日のお昼頃。」

「そっ…か。オレ、間に合わなかったね。ごめん。」

「ううん。気にかけてくれてありがと。」

儚い笑顔。静かすぎて心配になる。泣き腫らした事の解るその目はこんなにも正直なのに。

「大ちゃん、ちゃんとご飯食べてる?ちゃんと寝てる?」

いつものようにソフアに腰掛けて隣に座った彼の表情を伺う。

「うん。ちゃんと寝てるよ。」

苦笑しながら俯いた彼の目の下のクマ。

ウソつき。ホントは一晩中泣き明かしたくせに。テーブルの上に散らばったいくつもの写真。あれを見て一人で泣いたくせに。強がるなんて、オレの前で平気な振りをするなんて、あなたはバカだよ。
オレは彼の肩を掴み、オレと対面するようにこっちを向けると両頬を逃げられないように挟んで言った。

「何、我慢してるんだよ!オレの前で強がる必要なんてないだろ。何のためにオレがいるんだよ。」

「やめて…!」

パシンと払われた手。そのまま顔を背けてしまう彼にオレはため息を噛み殺すように唇を噛み締めた。
訪れる沈黙。背中を見つめるしか出来ないオレ。どうして?こんな時オレはあなたに必要ないの?
この人はホントの気持ちをなかなか見せない。あなたの事なんて、もうほとんど解っているよ。どれだけ長い間一緒にいたと思ってるの?だからもういい加減、最後の鍵をオレに預けなよ。
意地っ張りな彼は背中を向けたまま呟く。

「お仕事たくさんあるもん。やらなきゃいけない事、たくさんあるもん。僕には休んでる暇なんてないの。ジョンだっていてくれるし、僕がしっかりしなきゃ。だけど…。」

背を向けてた背中がそのまま傾く。

「ちょっとだけ、ここ貸して。」

ちょこんと肩に乗せられた金色の髪。小さな温もりが触れてくる。オレは傾いたその肩をそっと撫でた。

「大ちゃんの好きなだけ。」

小さな温もりは声にならない声で「ごめん…」と震えた。