第二回 access TOUR ミーティングなう 

ボクちょっと遅刻... Hiroまだ来てなかった... なう 

お昼寝してたらしいです... 事情通 

 

 

 

 




泣き腫らしてちょっと恥ずかしい目のまんま、予定のミーティングに駆け込むとヒロがまだ来てなかった。


あれ???おかしいな・・・。


控えめに、それでもヒロの携帯に電話しちゃう。
何回かのコール音の後・・・。

「ふぁい???」

いかにも今起きましたの声が・・・。

「ヒロ・・・もしかして寝てた?」

電話の向こうから聞こえるガサゴソと起き上がる音。やっぱり・・・寝てたな。

「ミーティング・・・始まってますよ。」

自分の遅刻は棚上げしてそう言うと恐らく時計を確認したんだろう空白の間。

「うわぁっ!!ゴメン!!すぐ行く!!」

ブツッと電話を慌てて切ったヒロ。慌てようが目に浮かぶようだ。

やっぱり・・・寝不足なんだよね。
実は・・・さっきまでヒロと一緒にいた。
このミーティングの前に僕の別件の用事で家を出る時に一旦別れ、ヒロは着替えてくるってヒロの家に帰ったんだ。

アルが亡くなってから、ヒロはそれなりに忙しいはずなのに毎日僕のところに顔を出してくれて・・・僕が寝れないこともあっと言う間にヒロにはバレタ。
夜になるといろんな事を思い出しちゃって、うとうとしてもすぐにアルの声が聞こえたような気がして目が覚めて、その瞬間にもういないんだ・・・って現実に泣いてばっかりで、おかげで今もこんな腫れぼったい目。

寝不足と泣きすぎ。

それにヒロは気付いてた。
だから昨日、今日の予定がaccessだけだから大丈夫だって思ったんだろうヒロは僕の家に泊まるって言い出して・・・。


僕は案の定何度も目を覚まし、でもその度にヒロが起きてて僕を落ち着けるようにぎゅってしてくれて・・・。
僕は久しぶりにちゃんと寝れた。だけどヒロは・・・。

子供みたいに良く寝るヒロだもん、きっと相当頑張ってくれたんだよね。その事が嬉しい。
こんな時、ヒロを好きで、ヒロと一緒にいれてよかったってほんとに思う。
優しい優しいヒロ。僕の大好きなヒロ。
家に帰った途端に撃沈したんだろうなって事は解るけど・・・これはマズイよね???

 

 


ミーティングもそこそこにスタッフ達と話してるとドアの向こうから騒がしい物音が・・・。

「遅れてスンマセンっ!!」

90度に頭を下げて、元気に入って来たのはやっぱりヒロだった。
ヒロってどうしてこう賑やかなんだろうね。でもその賑やかさが僕をホッとさせるんだけど。
それでも一応・・・。

「こぉらぁ!遅刻ぅ!!」

そう言って怒ってみせる。

「昼寝してましたっっ!!」

キッパリと言い切るヒロの言葉に周りが笑う。もう、ヒロったら・・・。
ヒロの到着にみんながそれとなくミーティングの形を取り始める。
隣に座って僕と目が合ったヒロは小さく“ゴメン”って。ホントなら謝らなくちゃならないのは僕の方なのにね。


ミーティングが始まったのを見計らって資料の紙の端に小さく書き出す。

“ちょっと寝れた?ゴメンね。ありがと”

僕の書いた文字にヒロがニッコリ笑う。そしてその文字の下に

“今日、抱き枕は必要?”

ヒロのキレイな文字が並ぶ。
ヒロを見ると僕を見てニヤリと笑う。僕はヒロの書いてくれた文字に大きく丸を書く。その丸を見て2人でクスクスと笑う。
するとそんな僕達に、

「ちょっとそこ!!遅れてきたのにイチャイチャしない!!」

カカア天下も絶好調な新妻S様が僕らを睨みつけていた。ミーティングは今日も終らない。

 


    END

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