「雨だねぇ・・・。」

作業途中で一息ついてなんとなしに窓の外を見ると雨が降っていた。僕が移動したのを散歩の合図だと思ったのか、後をついてきたジョンが僕のシャツを引っ張る。

「お散歩行けないんだよ〜ジョンくん。」

頭を撫でてやりながらスタジオに戻る。そこでは薄く目を開けたアニーが僕達をチラリと見た。

「ね〜お散歩行けないね。」

マグカップをジョン達の手の届かない所に置いて、僕に乗り掛かってくるジョンをあやしながらため息をついた。

「雨だねぇ・・・。」

ヒロと食事デートしてからヒロ不足を感じてしまった。忙しさに何となく誤魔化されてたけど、僕も相当キテるなぁ。結局次の日もヒロとの食事の名残なのかいつもは進んで食べない野菜を食べてみたり。僕もダメだなぁ・・・。

「ね、僕も相当女々しいよね〜。」

訳も解らずじゃれついてくるジョンに、ね〜と同意を求めても答えなんて返ってくるはずもなく。

「ね〜アニーちゃん、アニーちゃんは女の子だから解ってくれる?」

チラリと僕を見たアニーはまた手の間に顔を埋めて目を閉じてしまった。

「はぁ〜アニーまで・・・。」

いつもの事じゃないとでも言いたげなアニーは僕の事なんて取り合ってもくれない。

「みんなしてー。」

僕はマグカップに残っていたコーヒーを飲み干した。

「雨って憂鬱。ねージョン。」

散歩に行けずに体力の余ってるジョンをぎゅーっと抱きしめて、降りやまない窓の外に思いを馳せる。

「ヒロ、何してんだろ・・・。」

僕はあれ以来何の連絡もしてこない男の事を思ってまたため息をついた。