09/03/09 17:21
From 大ちゃん
Sub はるぅo(^-^)o


見て、見てぇ(゜▽゜)
桜さいてるよぉo(^-^o)(o^-^)o


  −END−

 

 

 

 

 

 

休憩中に何気なく携帯を開くと受信メールが1件。
誰だろうと思いながらも半ばそのメールの主はあの人だろうと、緩みそうになる顔を無理矢理キリっと引き締めてメールを開く。

やっぱり。


画面に踊る愛しい人の名前。今日はいかがいたしましたか?お姫様(笑)

ん?
んん?
んんん???

添付画像を見て首を捻る。

これって・・・桜かぁ!?
小振りで紅味の強い花びら。どう見たってこれは・・・梅、だよなぁ・・・。

まぁオレだってそんなに詳しいわけじゃないし、沈丁花を知ってる大ちゃんだしなぁ〜。
でも、やっぱり、梅、だよなぁ〜・・・。

一人携帯を睨んで唸ってるオレに柔らかい声が聞こえる。

 

「どうかしました?」

 

差し入れのチョコを差し出しながら、オレの様子を尋ねてくる。
バレンタインの時期と稽古始めが重なったせいで、すっかりオレの事をチョコ好きなんだと勘違いしている共演者の純名さんは、チョコを毎回のようにオレにくれる。まぁ嫌いじゃないけどさ、たまには他の物を食べたいと思う。

差し出された物を無下にも出来ず、「どうも。」と言ってひとつ摘む。

 

「難しい顔して、どうしたんですか?」

 

手近な椅子に腰掛けて聞いてくる彼女に、そうだ!と思い画像を見せる。

 

「これって・・・。」

 

「あら、綺麗な梅!」


 

・・・やっぱり。

 

「梅、ですよね。桜じゃ、ないですよね。」

 

オレの言葉に純名さんはもう一度画面を覗き込んで、

 

「梅、ですよね?」

 

「ですよね。」

 

「だと思いますけど・・・。」

 

首を傾げた。

あぁ〜も〜大ちゃん(笑)


オレはおかしくなって笑い出した。すると不思議そうな顔で純名さんがこっちを伺っている。

 

「桜が咲いたよってメール送って来たんですよ。梅なのに。間違ってるよ〜。も〜。」

 

爆笑するオレにつられてか、純名さんもクスクスと笑う。

 

「ステキな彼女さんですね。」

 

「へ!?」

 

急に言われた聞き慣れない言葉に聞き返すと、

 

「彼女さんでしょう?」

 

ニッコリと笑いながらそう言われた。


う〜ん、彼女と言うか何と言うか・・・。
恋人?であることにはかわりないけどぉ・・・。


頭の中で一人会議をしながら曖昧に笑って見せると、純名さんは「解りますよ。」と勝手に納得して、夢見るように言った。

 

「嬉しかったんでしょうね。桜だぁ!って。だから大好きな人にも伝えてあげたくなったんだと思いますよ。女の子らしいじゃないですか。」

えぇ!?

女の子らしいって・・・完全に彼女だと思ってるよ、これは・・・。
まぁ・・・こんな行動を見たら、そりゃあそう思っても仕方がないよなぁ・・・。大ちゃん、下手な女よりもまめなんだもん。

傍らの純名さんを見ると、私も見習わなくちゃとかなんとか・・・。
こりゃあもう、いまさら大ちゃんでしたなんて、言えないよなぁ・・・。

オレは曖昧に笑った。
まぁいっか!大ちゃんの事、彼女なんて言われるのも悪い気はしないし。大ちゃんには申し訳ないけど、少なくとも純名さんの前では『彼女持ち』として話してもいいんだもんな。どうせ会わなきゃ解んないんだし。

そんな事を考えてると休憩終りの声が掛かる。オレは携帯を鞄にしまって、舞台へと戻る。

 

「貴水さん。」

 

純名さんがニンマリと笑ってオレを小声で呼ぶ。

 

「もしかして、桜になんか思い出でもあります?何かのサインかも知れないですよ、メール。」

 

「え?」

 

「一年越しのデートの約束とか。」

 


一年越しの約束?

 

「あ!!」

 

思わず声を上げたオレをクスリと笑って純名さんは立ち位置についた。


大ちゃ〜ん、もしかしてそういう事?
去年、免許取り立ての大ちゃんにつれられて行ったあの八重桜。
確かにまた来ようねって・・・。
覚えててくれたんだ。


遠回しな大ちゃんのおねだり。ったく、オレの恋人はかわいらしいったらない。

 

「貴水さん、顔、にやけてますよ〜。」

 

面白そうに言う純名さんに苦笑を漏らし、オレは芝居の世界へと戻る。
今はこっちのお嬢様のお相手を・・・。

芝居が終わったらウチのかわいらしいお姫様のわがままをたっぷりきいてあげなくちゃ。オレは貴方の召使でも何にでもなるよ。うんん、ならしてよ。
だから、もうちょっとだけ、待っててね。オレの可愛いお姫様!!


 

  END