とうとう明日に迫ったディナーショー。
楽しみな気持ちももちろんあるけど、やっぱり緊張する。

クラッシックはホントに奥が深い!僕なりに突き詰めて、やれることはやったはずだけど、この何処となく緊張してしまうのはどうしようもない。
明日の今頃には・・・そう思うだけでドキドキと心拍数が上がる。
こういう時はノーテンキな人の笑顔を見て・・・なんてヒロに聞かれたら怒られそうだけど、ヒロの笑顔には何かそんな不思議な力がある。
前日にはおまじないをかけてあげる!なんて調子の良い事を言っていたから、多分今頃いつのも所にいるはずだ。
僕のディナーショーが終わったら、今度はヒロの番。今度は僕がおまじないをかけてあげようかな〜。
まぁ、ヒロはあがるって事、知らなさそうだけど(笑)


いつもの公園に辿り着く前に自販機で、缶コーヒーを買った。
こんなに寒くちゃ、きっとまたガタガタ震えてるに違いない。寒いの苦手だからね。


通い慣れた公園への道。今日は僕一人。何かワンコ達をつれてくるような気分じゃなかった。
今日くらい・・・ゆっくりヒロと話したい。


最初はホントに変な奴としか思えなかったけど、こうしてみると結構楽しい。
ヒロと一緒にいるのは肩肘張らなくて済む。普段、それなりに緊張してるからね。こんな風に砕けた話をしたのはどのくらいぶりだろうな。
とうとう明後日はクリスマスイヴ。今年は1人で過ごさなくても済みそうだ。
快くアベちゃんを帰してあげよう。その前に、明日の大仕事をしてもらうけどね。


クリスマスはやっぱりワクワクする。街中がキラキラして、1人だって華やいだ気分になるけど、やっぱり誰かと過ごすクリスマスって言うのは、ホンワカとあたたかい。何か、すっごい楽しみになってきちゃった。

僕はウキウキした気分でツリーの下へと急ぐ。キラキラと輝くツリーの下、ヒロの姿を探す。
あれ?まだ来てないのかな?
僕はいつもの場所に近付きながらキョロキョロとあたりを探す。

「あ・・・ヒロ、・・・っ!!」

僕は思わず叫びかけた声を飲み込んだ。
誰かと一緒にいる。いつもの柵のところじゃなくてツリーの木に隠れるように裏側に。
遠くに見えるヒロの顔。いつも僕が見てる明るい犬みたいな笑顔じゃない。何かを話す横顔が優しそう・・・。
もう1人の影は、女の人だった。

もしかして・・・彼女・・・?

ヒロの笑顔は男の人のそれだった。愛しいものを慈しむような微笑み。

・・・初めて見た。

話してる声はここからじゃ聞こえない。一体何を話してるのか、突然彼女がヒロの胸にトンっと額をつけ、ヒロはそんな彼女を・・・優しく抱きしめた。



僕は、そこから動けずにいた。

ポケットの中に無理やり突っ込んでいた缶コーヒーがどんどんとぬるくなる。まるで僕の気持ちみたいに・・・。
あそこにいるのは僕の知ってるヒロじゃない。その事に何故かショックを受けた。

でも・・・。

アレが本来のヒロなんだって、痛いほど良く解る。ヒロは・・・ああして生きてきた人なんだ。当然といえば当然。あれだけカッコいい人だもの。彼女だって・・・。


良かったね、ヒロ。


僕は音を立てないようにそっとその場を後にした。

 

 

 

09/12/22 22:38
From ヒロ
Sub おつかれ!!!!!!

とうとう明日だね(^-^)!!!!!!!
ディナーショー頑張って!!!!!!

おまじないしてあげたかったけど、今日はお散歩やめちゃったのかな?
明日本番だしね。風邪ひいても困るもんね。

それじゃあ、ここからパワーを送るよ(^-^)!!!!!!!

明日が大ちゃんにとってステキな一日になりますように・・・。

ちゃんと寝てね!!!!!!!
おやすみ(^-^)!!!!!!!


  −END−