「はぁ〜〜すっごぉ〜〜〜い!!」
ぐるりと頭上を見た渡して僕は思わず感嘆の溜息をつく。
大きな木に飾られたクリスマスデコレーション。建物を縁取るようなたくさんの煌き。
これを日が暮れてから見たらどんなにきれいなんだろう。今が太陽の出ている昼間だって事が悔やまれる。
規模が違う。伝統の街は何もかもがスケールが違う。
最近は日本でもかなり凝った趣向が凝らされているけど、そうじゃない、空気そのものがクリスマスを彩ってるみたいだ。
吐く息が白い。僕は今オーストリアにいる。
曲のイマジネーションをわかせるためってムリを言って飛んできたここで、僕は束の間の休暇を味わっている。
だって、いいよね?今年は頑張ったもん!
一度旅行に出てしまうと、またすぐどこかに行きたくなるのは仕方のない事。
ホントはドイツに行きたかったんだけど・・・急に決めすぎたせいで泊まってみたいって思ってたホテルが取れなかった。
それなら気になってた建築物を見に行こうと思ってのオーストリア。
それにオーストリアは音楽の都ウィーンだし。
たくさんの音楽家を生み出したこの場所で、僕もイマジネーションの扉を開けたいと思った。
ここに息づいていたたくさんの音楽家達。ハイドン、モーツアルト、シューベルト、ヨハン・シュトラウス2世、ブルックナー・・・。
それにあのカラヤンもオーストリアの出身だ。そうそう!!クライスラーも!!
そう考えただけでドキドキする。
もしかしたらここを歩いていたかもしれないんだよね。不思議な感じ。
ホントにそんなすごい人達がちゃんといたのかなって時々思ってしまうけど、楽譜が残っているんだから嘘じゃない。
ここの町並みは・・・そういうのが良く似合う。まだ勉強中の学生さんなのか、それとも駆け出しの音楽家なのか、街のちょっとしたところで演奏をしてる姿も見かける。ここには音楽が溢れてる。その分耳もこえてるんだろうけど、それがこの街の空気を作り出してるんだと思う。
目に飛び込んでくるものが総て新鮮。建築物もかなり変わってる。
かなりサイケデリックな色使いの建物も、おかしな形の建物も、何故かこの街に自然に溶け込んでる。これが歴史の差なのかな?
日本のちゃかちゃかしたクリスマスも悪くないけど、こっちのはどこか神聖な厳かな空気もある。宗教行事っていう色合いが強いからなのかな?
そうだよね、恋人達のイベント事じゃないんだから、本当は。
日本にいるとこの季節は一人でいるのが切なくなる。1人でいちゃ、いけないみたいな気になってくる。
いいじゃんね?一人だってさ。
大切な家族と一緒に過ごす。・・・まぁ、僕の場合、それが犬だって言うのが切ないんだけどさ・・・。
今頃どうしてるかなぁ。ちゃんと大人しくしてるかな。
アベちゃんに預けてきちゃったけど、アベちゃん・・・甘いからなぁ・・・太らせてなきゃいいけど・・・。
今はそんな暇、ないか!お料理と格闘中だもんね。
あ!!もしかして!!
失敗作とか食べさせられて、逆にお腹壊してたりして・・・。
あぁ〜〜不安になってきた・・・。早く帰ってあげなきゃ・・・。
この景色・・・みんなにも見せてあげたかったなぁ。