口の中に広がる甘い味。

 

 

「ヒロにあげたのにぃ・・・。」

 

 

チョコは美味しいけど、ヒロが食べてくれなきゃ意味がないよ。

 

 

「良いじゃん。いっぱいあるし、オレ一人じゃ食べきれないよ。」

 

 

「でも・・・。」

 

 

ヒロに食べて欲しいのに・・・なんて思っていると、ヒロは僕の額をコツンと突いて、

 

 

「何でもはんぶんこ。OK?」

 

 

そう言ってチョコを口に咥えて僕に差し出した。

 

 

「大ちゃん。」

 

 

嬉しそうに待っているヒロの姿に、僕は小さく笑うとヒロの咥えたチョコを半分食べた。

 

 

「おいしい?」

 

 

「・・・ん。」

 

 

照れくさくて、何となく俯いてしまった僕に、ヒロは次のチョコを咥えて僕をまた呼んだ。

 

 

「はんぶんこ。」

 

 

「もう。」

 

 

くすっと笑うヒロ。僕もつられて笑う。

 

僕達はチョコの数だけ、甘くて優しいキスをした。

 

 

 

 

      END