「黒田・・・?」
声をかけてきたのは黒田だった。今日も相変わらず自分が芸能人だって事を自覚してないかのようないでたちで、でも、そこに誰も気付いてないって言うのが、黒田の不思議なところ。お店にも街にも馴染んでいる。
「何してるんですか?」
僕のとは明らかに違うサイズの服を持っている僕に不思議そうな声で聞く。
「うん、ヒロの服、選んでるの。」
「貴水さんの・・・ですか?」
「今日、バレンタインだからね、プレゼント。」
「相変わらず、仲いいんですね。」
「ねぇ、どっちがいいと思う?」
迷ってる服を広げて黒田に意見を求める。
あーでもないこーでもないといろんな服を見比べて、ようやく買うものを決める。
あ〜ヒロに喜んでもらえるといいけど・・・。
「そうだ、この後、チョコ取りに行くんだけど、一緒に行く?」
服のお礼もしたかったし誘ってみた。