<不埒な彼氏>
最近僕はこう思うんだ。僕はヒロに甘くないかなって。
40を越えていろいろ諦めたのか、それとも開き直ったのか、隠し事がなくなったのかも知れない。
だからライブの時ごく自然に僕に
。
ねぇ、でも、それっていいのかな?それって他の人達はどう思うんだろう。
気にならないわけじゃない。でもそれをわざわざ他の人に聞くのもどうかと思うし・・・。
「大ちゃん、どうかしたの?」
一人だけすっきりした顔で、既に私服に着替えたヒロが僕の楽屋に訪れ、僕の隣に腰を下ろす。
「まだ衣装?早く着替えないと衣装さん困っちゃうよ。」
僕の為に入れてくれた飲み掛けのオレンジジュースを勝手に飲んで、すっぱそうな顔をしてるヒロに聞いた。
「ねぇヒロ、今日のアレはまずかったんじゃない?」
「アレって?」
「・・・ちゅう、したでしょ?」
「あぁ!アレ、ね。」
あっけらかんと言う。
「そう、アレ。」
「気にしてるの?大ちゃん。」
僕の顔を覗き込んでヒロが聞いてくる。
「気にするって言うか・・・他の人はどう思ってんのかなって。」
「別に平気だよ。盛り上がってたし。」
ヒロの答えに僕はため息をつく。
「盛り上がればいいの?」
「ん?ていうか、気持ちよかったんだもん。そういう気分になっちゃったって言うか。」
そう言いながら僕の汗ばんだ髪を撫でるヒロは何故か笑顔。
「何?何笑ってんの?」
「だってぇ〜。」
にこにこと笑って僕を見た後、あの時と同じようにこめかみにキスをする。
「大ちゃん、可愛かったんだもん!!」
やっぱり僕はヒロに甘い。
こんな笑顔を見せられたら・・・何も言えなくなっちゃうじゃん。
僕は洗いざらしのヒロの髪をぐしゃぐしゃっと撫でた。
いろいろ諦めなきゃいけないのは、僕のほうかも知れない。
END 20090823
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