<PARADISE Secret Door>
「ん・・・っふぅ・・・。」
思わず漏れ出す吐息交じりの甘い声。
お互いを判り合うには充分過ぎるほどのキスを交わし、蕩けた身体をソファに埋める。
熱を持った肝心な部分にお互いあえて触れもせず、唇から伝わる熱波のような言葉だけを貪りあう。
淫らな音が静かな部屋に響く。
言葉は終わる事を知らず、また終わらせる事も知らない。
時折響くソファの軋む音に、束の間、正常な意識を取り戻す。
掴んだ髪を柔らかく解いて、絡め合う眼差しの糸。
上気した相手の表情に満足の笑みをこぼす。
再び交わされる唇の会話。
漏れる吐息の数が増えて行く。
苦しむ下肢の痛みを堪えて、会話は続く。
限界が近い。
熱を持った吐息を伴って、この先の快楽を与えてくれるだろう者の名を呼ぶ。
快楽を与えて欲しい者の名を、呼ぶ。
見つめ合う潤んだ瞳、貪り合う震える唇を離して、思わず口にする。
「世界もフツーも捨てていいからっ!!!」
自分の声だけではないそのセリフに、思わず探るような視線を送る。
「ふふふ。」
「あはは。」
こぼれだす笑い声。
同じセリフを同じタイミングで、互いに求め合って、互いに限界を向かえていた。
「ホントに捨ててくれるの?」
「ヒロこそ。」
「オレはとっくに捨ててるよ。」
「僕だって、フツーじゃないよ。」
そう言いあって、笑い合う。
「だけど、これが僕達のフツー、だよね。」
「そっか。」
「だから。」
そう言って大介は博之を抱き寄せる。
「そんな僕達のフツーも捨てさせてよ。」
意味ありげに微笑む。
「世界も、フツーも捨てていいから、もっともっと僕の中をヒロで満たして。
フツーじゃなく、させてよ。」
殺し文句を囁いて、もっと判り合うために接吻ける。
「覚悟・・・キメてね。」
離れた唇にそっと告げられる言葉。
瞼を閉じてOKのサイン。
「どうにでもして。」
大介の言葉にソファが大きく軋んだ。
南の島なんて必要ない。
どこに居たって、何をしてたって、2人でいれば、そこが特別。
永遠に、死ぬまで夢見る、二人のパラダイス。
LOVE END