<Kid>

 

 

 

 

 

 

 

「だぁいちゃぁ〜ん、まだぁ?」

 

 

ひとしきり騒いで逆上せるって言うヒロを追い出してやっと半身浴の時間を楽しんでるのに、バスルームの扉をガンガン叩きながら催促をする彼。うるさいったらない!!

読み進めて来た小説は後ちょっと。今が佳境。

10ページも読めば終るって言うのに、どうしてこの男はそれが待てないんだ。

逆上せた自分が悪いんだろ、暇を持て余してるのは僕のせいじゃない。

それなのに・・・さっきからうるさいくらいに呼ぶもんだから全くもって集中出来ない。

さっきから同じところを読み返してはその度に邪魔する奴の声にイライラする。

 

 

「ねぇ〜大ちゃ〜ん。」

 

 

脱衣所から呼び掛ける声。

磨りガラス越しに見えるヒロの背中。

 

 

あーもーうっさいっっ!!!!!

 

 

本を閉じて浴槽から出ると勢いよくドアを開けた。

 

 

「うわっっ!!」

 

 

もたれ掛かってたヒロは急の出来事にそのまま仁王立ちした僕の足元に倒れて来る。

仰向けに転がったヒロと目が合う。

 

 

「大ちゃん、大胆♪・・・ちぃんちんぶぅらぶら」

 

 

この男はぁ・・・!!!!!!!!

 

 

「そーせぇ・・・」

 

 

僕は寝転がってるヒロの頭を蹴り上げた。

 

 

「イデッッ!!!!!」

 

 

「お前は子供かっっっ!!!!!!!!!」

 

 

バスルームから追い出して残りのページを読もうと再び本を開いたが・・・あまりのくだらなさに今度は笑いが止まらない。

 

 

「大、ちゃん・・・。」

 

 

扉の向こうから聞こえる情けない声。

全くこの男がいると少しも落ち着けない。

僕はため息をつくと本を閉じて大きな子供のいるドアを開けた。

 

 

 

 

 

 

    END 20100515